不殺主人公として有名なトライガンのヴァッシュ・ザ・スタンピード。
彼が不殺を貫く理由は一体何なのでしょうか?
この記事ではヴァッシュの不殺をテーマに、その詳細を掘り下げていきます。
また、不殺主人公という点も含めトライガンが他作品に与えた影響についても解説していきます。
目次
ヴァッシュが己に架す「不殺の枷」とその理由
「不殺の枷」を自らに架すヴァッシュ・ザ・スタンピード。
彼はこの誓いを守るあまり、非常に無茶な生き方をしてると言えます。
身体中にある無数の傷はその証でしょう。
悪党にバカにされても、時には裸になって犬のマネをしろと言われても彼が不殺の枷を外すことはありません。
自分を殺そうとするGUNG-HO-GUNS(ガンホーガンズ)の面々に対しても、その価値観を崩すことはありません。
不殺系の主人公の中でもヴァッシュは殺さない理由の説得力がやべぇのよ
— べー@lSF10 H-30 ウミミ合同 (@urabureya) January 6, 2023
※参照:トライガンの舞台設定や世界観が気になる!ノーマンズランドやプラントも解説
また、ヴァッシュは「ラブ&ピース」とよく口にし、それを他人にも語りますが、それも不殺の枷を己に課してることから。
こうしたヴァッシュの姿勢は他人には迷惑に映っており、彼が「人間台風(ヒューマノイド・タイフーン)」と呼ばれるのもこうした姿勢が大きいと言えます。
とはいえヴァッシュは弱い訳ではありません。
後述する「ロスト・ジュライ」に見られるように、ヴァッシュはその気になれば大都市を破壊できる程の強大な能力を保持しているのです。
もちろん普段はその力を発揮することはありませんが・・・
※参照:【トライガン】ヴァッシュザスタンピードの義手や銃の腕前は?コートやサングラス黒髪化についても
そんなヴァッシュに対し、双子の兄であるナイヴスや腹心のレガート・ブルーサマーズ、そして戦友であるウルフウッドは疑問を投げかけ、時には「殺せ」と言ってきます。
しかしヴァッシュが自身の「不殺」を覆すことはありません。
その理由は一体何なのでしょうか?
育ての母親レム・セイブレムの影響が大きい
ヴァッシュが不殺を貫く理由は、育ての親であるレム・セイブレムの影響が大きいと言えます。
トライガン、幼少期とレム役が発表されてるということは二人の話を中心にするんかな。(もともとそれが中心だけど、ドタバタ1話完結シリーズにもできるので)
— ズ(a.k.a タ) (@ta_ta_xoo) September 25, 2022
レムは地球から他惑星への移民船団に参加していた女性で、「人はどこへでも行ける」「過ちは何度も正せる」という信念を持っていました。
ヴァッシュやナイヴスが産まれたのもこの移民船団の中で、レムはこの2人を母親代わりとなって育てることとなります。
その中で、レムは自身の考え方をヴァッシュやナイヴスに語ります。
ヴァッシュはレムに共感するものの、ナイヴスは反発。後に「大墜落」を引き起こし移民船団を壊滅させます。
この時、レムは自身の命を顧みずに船団のクルーの何割かを救うことに成功します。
このレムの行動は、ヴァッシュの中に「レムが行ったことを無駄にしたくない」という信念を芽生えさせ、やがてヴァッシュは己に不殺の枷を架すこととなりました。
また、トライガンの世界に暮らす人はレムのよって救われた人の末裔だと考えることも出来ます。
こうした「レムの忘れ形見」を守りたいという想いも、ヴァッシュの不殺に影響を与えたと言えるでしょう。
※参照:【トライガン】レム・セイブレムとは?ヴァッシュとの関係やSound Lifeの歌も解説。
ロスト・ジュライ:数多くの人の死に関わる
不殺の枷を己に架したヴァッシュですが、実は「ロスト・ジュライ」を通して大勢の人の死に関わっています。
「ロスト・ジュライ」はヴァッシュが引き起こしたとされる事件で、作中の世界第2位の都市・ジュライが一瞬のうちに壊滅。都市の住民全てが壊滅したと言われています。
原作ではこの時、GUNG-HO-GUNS(ガンホーガンズ)の一人であるホッパード・ザ・ガントレットの恋人も亡くなっており、これ以降ガントレットはヴァッシュへの憎悪を胸に生き続けてきました。
しかし、ヴァッシュには「ロスト・ジュライ」を引き起こした時の記憶がないのです。
実はこの事件の真犯人はナイヴスであり、彼がヴァッシュのA・ARM(エインジェルアーム)を誤作動させたことが「ロスト・ジュライ」の真相なのです。
この時受けたショックのため、ヴァッシュには「ロスト・ジュライ」の記憶が残っていません。
この事件の勃発は、ヴァッシュが不殺の枷を外したとは言えないでしょう。
レガート・ブルーサマーズとの対決で不殺の枷を外す
そんなヴァッシュですが、レガート・ブルーサマーズとの対決で不殺の枷を外すこととなります。
※参照:【トライガン】レガートブルーサマーズの強さや最強なのかを解説。過去や最後についても
トライガンのPVちゃんと観たらレガートいるじゃん!
声優さんは誰になるのかしら pic.twitter.com/CNfMmcMIXn— RayD (@RayD_4632) October 16, 2022
レガートは作中において、ヴァッシュが唯一自らの意思で殺めたキャラでもあります。
原作の終盤で、レガートはヴァッシュと戦うも敗北。
彼に殺されることを望みますがヴァッシュは不殺にこだわり手を下しません。
するとレガートはリヴィオを人質に取り、ヴァッシュに不殺の枷を外すよう迫ります。
やむを得ずヴァッシュはレガートを殺害。これによってレガートはヴァッシュの心を折ることとなりました。
ちなみに旧アニメでは人質がメリルとミリィに変わっていますが、ヴァッシュに不殺の枷を外させたという点では共通しています。
※参照:【トライガン】メリル・ストライフとは?職業が変わった理由やヴァッシュとの関係も解説
レガートは「トライガンスタンピード」にも登場しますが、ヴァッシュの不殺の枷とどう関わっていくのか楽しみですね。
不殺主人公とは?トライガンが影響を与えた作品も解説
余談ですが、ヴァッシュのように「不殺」を自らに架す主人公を「不殺主人公」と言うことがあります。
中にはトライガンが影響を与えた作品の主人公が「不殺主人公」であることも。
以下では不殺主人公やトライガンが影響を与えた作品についてまとめてみました。
不殺主人公:るろうに剣心や鋼の錬金術師の主人公が有名
不殺主人公とは敵を殺さない、殺したくないという価値観を持っている主人公のこと。
例としては以下のキャラが挙げられます。
・アンパンマン
・バットマン
・ウルトラマンコスモスの春野ムサシ、
・ONE PIECEのルフィ
・魔人探偵脳噛ネウロの脳噛ネウロ
・機動戦士ガンダムSEEDのキラ・ヤマト
・るろうに剣心の緋村剣心
・鋼の錬金術師のエドワード・エルリック
この中で特筆すべきはるろうに剣心で、この作品とトライガンは連載開始時期が近いこともあり、主人公が不殺を貫く姿は後続の作品に少なくない影響を与えました。
(るろうに剣心は94年、トライガンは95年)
この2作品に影響を受けたことで有名なのが『鋼の錬金術師』の作者である荒川弘氏です。
鋼の錬金術師の主人公・エドワード・エルリックが敵を殺さないのは、荒川氏がヴァッシュと剣心の造形に影響を受けたのだとか。
エドの服装が赤いのもヴァッシュと剣心の影響なのだそうです。
荒川先生は『るろうに剣心』や『トライガン』の様に人を殺さない主人公に影響を受け、エドも不殺キャラになったらしい。服装もそれぞれ赤い色の服を着ている。 pic.twitter.com/bmgrMlb944
— スシツネ (@YmtwFg) September 28, 2017
荒川氏はトライガンの大ファンで、2010年にトライガンが映画化された際はファンメッセージを贈ったことで知られています。
「Fate」シリーズの関係者に大きな影響を与える
荒川氏以外にも、トライガンの影響を受けた漫画家やシナリオライターは多くいると言われています。
つーかあからさまにトライガンの影響受けてる作家の平野耕太とか矢吹健太朗とか虚淵玄とか桜井光とか西尾維新とか奈須きのことかお前ら読むのに何で肝心のトライガンは読まんねんオタク共しばくぞ
— 電映のタイム。 (@tvtime0364) June 16, 2022
中でも「Fate」シリーズのシナリオライターとして知られる奈須きのこ氏のトライガン愛は有名です。
奈須きのこ氏は上記の荒川氏と同様、劇場版トライガンに長文のメッセージを寄せています。
トライガンはいいぞ。
奈須きのこ先生がガッチガチの長文で語るほどの作品なので私のフォロワーにはハマるはず。
某赤い弓兵のリスペクトっぷりを見ると色々察せられるね?エグいぞ。 pic.twitter.com/tjuIWRG9dW— ぽん酢(ニューオーダー) (@Ponzu_SHT) October 16, 2021
また奈須きのこ氏の所属先であるTYPE-MOONの代表でイラストレーターの武内崇氏も、トライガンの作者である内藤泰弘氏に影響を受けたと言われています。
登場キャラのアーチャー(エミヤ)の造形がヴァッシュに似てると指摘されることもありますね。
『Fate/Zero』の著者である虚淵玄氏もトライガンに影響を受けたと言われています。
トライガンの影響を受け打ち切りになった作品も
「影響を受けた」と言えば、トライガンに作風が似てると指摘され打ち切りになった作品もあります。
それは『BLEACH』の作者である久保帯人氏のデビュー作『ZOMBIEPOWDER.』(ゾンビパウダー)です。
この作品は99〜2000年にかけて連載されていた西部劇風の作品なのですが、わずか27話で打ち切りとなっています。
その理由がこの作品がトライガンをパクったのではないかというもの。
ゾンビパウダー、あれ打ち切りだったの… 途中からリアルタイムで読んでたけど、知らなかったなぁ… トライガンのパクリか… しかし、そこからブリーチで大ヒットしたんだから大したモンだよなぁ pic.twitter.com/NBph8dioxw
— 甲 (@kaku_kou_1117) March 20, 2016
類似点としては以下が挙げられます。
・主人公に多額の懸賞金がかけられている
・キャラクターの名前や武器の形状が似てる
・主人公が思い出す女性(トライガンで言うレム)がいる
背景としては、当時の久保氏はデビュー直後で西部劇風の作品を書いた経験がなく、その参考として当時のジャンプの担当者が渡したのが『トライガン』だったと言われています。
久保氏にも葛藤があったようで、単行本1、2巻では「自分の漫画だという気がしない」とコメントを寄せているほど。
こうした失敗経験があるにも関わらず、よく『BLEACH』を大ヒットさせれたなあとも思ってしまいますが…
まとめ
トライガンのヴァッシュが不殺を貫く理由について、不殺主人公や他作品への影響も踏まえ解説してきました。
まとめると、以下のようになります。
・ヴァッシュは己に「不殺の枷」を課しており、これを守るために非常に無茶な生き方をしている。
・ヴァッシュが不殺を貫くのは、母親代わりのレム・セイブレムの影響が大きい。
・「ロスト・ジュライ」やレガート・ブルーサマーズとの戦いなど、実際には多くの人の死に関わっているとも言える。
・ヴァッシュのように不殺を信条にする主人公を「不殺主人公」と言うことがある。
・トライガンは鋼の錬金術師や「Fate」シリーズなど、後続の作品に大きな影響を与えたと言われている。
ヴァッシュの「不殺」はトライガンを語る上で重要な要素だと言えます。
「トライガンスタンピード」でも上手く表現して欲しいと思うのですが・・・
またトライガンは多くの作品に影響を与えたことでも知られており、最近では『リコリス・リコイル』がトライガンの影響を受けたと指摘されています。
今後もトライガンは色々な作品に影響を与え続ける「古典」になるのでしょうね。
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トライガンやトライガンマキシマムの漫画を安く読む方法は?最安値で買った価格についても
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