後宮の烏の夏高峻(かこうしゅん)が皇帝になった背景は?母親毒殺の経緯や皇太后のモデルも考察

後宮の烏に登場する皇帝・夏高峻(かこうしゅん)

その即位の背景はかなり複雑で、複数の人物の思惑が絡んできます。

「ちょっとわかりにくい…」感じている方もいるかもしれませんね。

この記事では、夏高峻が皇帝に即位するまでの背景について解説してみました。

夏高峻と対峙する皇太后の人物像や、似ている実在の人物についてもご紹介します。

夏高峻が皇帝になるまでの経緯が苦労の連続すぎる!

夏高峻(かこうしゅん)は霄(しょう)という架空の国の皇帝。

スラッとしたイケメンですね。

アニメでは声優の水中雅章さんが演じられています。

そんな夏高峻、霄の国にある夏王朝の三代目の皇帝という設定なのですが、即位に至るまでの過程は苦労の連続でした。

高峻は10歳の時、実の母親である謝氏(しゃし)を皇太后(父親の皇后)に殺されています。

そして父親の皇帝の死後、高峻は13歳の時に皇太子を廃されてしまい、魚藻宮に移されてしまいます。

その時の暮らしは日々の食事にも事欠くほど、苦労の連続だったようです。

この間にも、高峻は小さい時から仕えていた友人で宦官の丁藍(ていらん)を皇太后に殺される経験をしています。

※参照:後宮の烏宦官(かんがん)とは去勢された男性!登場キャラクターもまとめて解説

この時のショックは大きく、高峻は以来感情を表に出さなくなります。

逆境につぐ逆境を味わった高峻でしたが、衛青ら側近と力を合わせ実力を蓄えます。

そして18歳の時に挙兵し皇帝に即位。同時に皇太后を幽閉する事にも成功します。

しかしこの時、高峻は皇太后の命までは奪えませんでした。

なぜなら確固たる証拠がないから。

この「皇太后の罪の証拠を見つける」過程が、原作1巻の「翡翠の耳飾り」で描かれてますね。

なぜ皇太后は高峻の母親を殺したのか?

では、なぜ皇太后は夏高峻(かこうしゅん)の母親である謝氏を毒殺したのでしょうか。

先代皇帝(高峻)の父親との間に子供が産まれなかったため

それは高峻の父親である先代の皇帝と皇太后の間に子供が出来なかったためと考えられます。

もし2人の間に子供がいれば、高峻は皇太子には立てられなかったでしょう。

高峻の母親である謝氏は身分が低く、実家の力も強くなかったと言われています。

「後宮の烏」の世界では、後宮の妃には
鴦妃(おうひ)
鵲妃(じゃくひ)
鶴妃(かくひ)
燕(えん)夫人
というランクが定められています。

謝氏はこのうち「鶴妃にあたり、決して高い身分ではありません。

そのため、先代皇帝と皇太后の間に子供が産まれた場合、間違いなくその子が次の皇帝である皇太子になったでしょう。

しかし、皇太后は皇帝の子供を産むことは出来ませんでした。

そのため皇太子に立てられた高峻ですが、皇太后としては面白くありません。

皇太后はかなり嫉妬深い女性だったようです。

謝氏以外の妃に対しても流産させた、毒殺していた…
という噂を、寿雪が九九(ジウジウ)から聞かされるシーンがありますね。

※参照:後宮の烏の妃のランク・階級を解説!鴦妃・鵲妃・鶴妃・燕夫人のキャラクターも紹介

自身の売官を隠すため?

さらに、皇太后は売官(ばいかん)によって収入を得ていたようです。

売官とは文字通り官職を売ることで、作品のモデルとなった中国の歴代王朝ではお金持ちが朝廷への献金と引き換えに官職を得ていたと言われています。

例えば、三国志で有名な曹操(そうそう)の父親は、皇帝や取り巻きの宦官に一億銭を寄付したことで、太尉(たいい)という高い位の官職を与えられたと言われています。

作中では、皇太后は夫の力を傘に来て、自分の富を蓄えていったようです。

子供が産まれない鬱憤を贅沢で晴らしていたのかもしれません。

そう考えると、皇太后にも同情の余地はあると言えますね。

しかし、こうした行いが明るみに出れば、自身の立場が危うい事は皇太后もわかっていた事でしょう。

そのために高峻の勢力の力を削いでおきたい。だからその母親を…

といった考えもあったのかもしれませんね。

皇太后にそこそこ似てる!? 明の万貴妃について解説

高峻の母親である謝氏をはじめ、多くの妃をその手にかけた皇太后。

改めて考えてみると恐ろしい女性ですね…。

そんな皇太后ですが、モデルとなった実在の人物はいるのでしょうか。

調べてみると、一部共通した点がある女性がいましたので紹介してみたいと思います。

それは明(みん)王朝の9代目皇帝・成化帝(せいかてい)の寵愛を受けた万貴妃(ばんきひ)という女性です。

中国で放送された時代劇ではいくつかの作品で取り上げられた事もある人物です。

万貴妃はもともと成化帝の乳母で、年齢も19歳離れていました。

しかし成化帝は万貴妃が大好きだったようで、皇后にこそしなかったものの、皇后の次のランクに位置している「皇貴妃」という称号を贈っています。

他の妃が産んだ子供を胎児させる

万貴妃は40歳ごろ、成化帝の間に子供を1人授かっています。

しかし翌年、この男の子は亡くなってしまうのです。

その後、万貴妃が妊娠する事はありませんでした。

一方の成化帝は21歳。他の妃との間に子供を授かっています。

これを見た万貴妃は嫉妬のあまり、宦官を使ってその子供たちをことごとく胎児させたと言われています。

この点は皇太后とかなり共通してますね。

万貴妃のこうした行動により、成化帝の子供は1人もいなくなったと噂が立った事も…

贅沢が好きで私腹を肥やした(とされる)

万貴妃は贅沢が大好きだったようです。

手下の宦官を使って宝石を集めさせたり、民衆や国庫から財産を盗んだりとやりたい放題。

この点も私腹を肥やしていた皇太后と共通していますね。

他にも怪し儀式を行い、秘薬を試したり…という逸話も残されてますが、これらは成化帝が行ったものを「万貴妃がしていた」とすり替えたのだという説もあります。

皇帝を悪く書く訳にはいかないので、その行いを万貴妃のせいにした、とも言われています。

万貴妃の記録が全て嘘だとまでは言わないですが、誇張されてる点はあるのだと思います。

生き残った子供が次期皇帝に…

成化帝と他の妃との間に産まれた子供をことごとく胎児させたと言われている万貴妃。

しかし、その難を逃れた子供が1人だけいました。

その子は側近の宦官や、成化帝の母親に保護されて暮らしていたと言われています。

やがて万貴妃と成化帝はその子の存在を知り、皇太子に立てられます。

後の明の弘治帝(こうちてい)として、「明王朝の中興の祖」として知られる優秀な皇帝として知られる人物です。

しかしその直後、皇太子の母親である妃は死んでしまいます。

一説には万貴妃が毒殺したとも…

その後、万貴妃は心筋梗塞で亡くなったと言われています。

「後宮の烏」の皇太后は夏高峻によって殺されてますが、万貴妃は天寿を全うしており、その最後は異なってますね。

まとめ

後宮の烏の夏高峻(かこうしゅん)が皇帝になった背景について、母親毒殺の背景や人物設定が似てる明王朝の万貴妃についてご紹介しました。

まとめると、以下のようになります。

夏高峻は母親の謝氏を皇太后に殺され、皇太子を廃されてしまう。
逆境に置かれつつも力を蓄え、皇帝に復位できた。
高峻の父親と皇太后の間には子供は産まれず、これが謝氏毒殺の背景にあった可能性も。
皇太后と似た歴史上の人物としては、明王朝の万貴妃が挙げられる。

夏高峻の即位の背景を見ていると、後宮内のドロドロとした人間模様が見て取れますね。

史実の万貴妃と弘治帝の例でも分かるように、皇太子であっても母親の身分が低いと命も奪われかねない。

何事もなく生きていくことが、どれほど大変なことなのかを改めて実感します…。

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