【後宮の烏】烏妃(うひ)の正体や秘密とは?実在したのかや元ネタも考察

後宮の烏に登場する「烏妃(うひ)」ですが、その正体や秘密がわかりにくいと感じたことはありませんか?

烏漣娘娘との関係や「夏の王・冬の王」、初代烏妃の香薔(こうしょう)など、関連する用語やキャラクターが多くて混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

烏妃の正体や秘密に触れつつ、実在したのかや元ネタについても考察してみました。

烏妃や烏漣娘娘との関係について。「冬の王」や烏妃の誕生も解説

烏妃(うひ)は作中の舞台となっている霄(しょう)の国の後宮にある、夜明宮(やめいきゅう)という宮殿で住んでいる妃です。

妃なのですが、皇帝の夜伽をする(≒性的関係を持つ)ことや子どもを持つことはない、少し変わった存在です。

現在の夏王朝の前の王朝にあたる欒(らん)王朝では、100人以上の烏妃がいたとされています。

寿雪の先代の烏妃である麗娘(れいじょう)によると、烏妃は「ひとりで在るもの」「何も望んではいけない」存在なのだとか。

こうした境遇からか、烏妃の中には自殺した者や、中には皇帝を殺そうとした者もいたとか…。

物語開始当初、寿雪が孤独に過ごしていたのもこうした背景がありました。

そんな烏妃ですが、一体どのようにして誕生したのでしょうか?

烏妃の秘密や正体に迫っていきましょう!

烏妃と烏漣娘娘(うれんにゃん)の関係:両者は一体である

烏妃の正体や秘密を語る上で欠かせないのが、烏漣娘娘(うれんにゃん)の存在とその関係性です。

アニメのOPにも登場する、人の顔をした鳥のキャラクターが烏漣娘娘です。

烏妃と烏漣娘娘の関係をまとめると以下のようになります。

烏妃の正体は、烏漣娘娘に仕えていた巫婆(みこ)の末裔である。
巫婆はもともと「冬の王」と呼ばれており、冬の王は烏漣娘娘から力を授けられていた。
初代烏妃・香薔(こうしょう)の意思により、烏妃と烏漣娘娘は一体となった。
新月の夜、烏漣娘娘は烏妃の体から抜け出して大空を飛び回っている。

以下で詳しく見ていきましょう。

まず、本作において烏漣娘娘は「夜と万物の生命を司る女神」と位置づけられています。

烏漣娘娘はもともと幽宮(かくれのみや)という、神々が住まう地域に住んでいました。

しかしとある罪を犯し、幽宮から追放されてしまいます。

余談ですがこの時烏漣娘娘を追ってこの世界に来たのが封宵月(ほうしょうげつ)でした。

幽宮において烏漣娘娘は「烏」、封宵月は「梟」と呼ばれており、2人は妹と兄の関係にあたります。

※参照:【後宮の烏】封宵月(ほうしょうげつ)の正体とは?薛魚泳や封一行についても解説

また1000年前、烏漣娘娘はウミガメの神である(ごう)と戦ったと言われています。

戦いの結果、共に力付き、引き分けに終わります。

鼇神は西の海に沈み、烏漣娘娘は自身の身体を2つに分けて、一方を東の海にある界島に沈めます。

そしてもう一方は初代烏妃・香薔(こうしょう)と一体化。

この状態は、香薔の跡を継いだ烏妃にも引き継がれます。

しかし新月の夜だけ、烏漣娘娘は烏妃のから抜け出して空を飛び回り、この間烏妃は身体中を引き裂かれる苦しみに襲われます。

こうした事情からか、烏妃は若くして亡くなる場合も多いようです。

なお原作6巻と7巻では、寿雪が仲間たちと共に烏漣娘娘の半身から解放しようとする過程が描かれています。

烏妃の正体:「冬の王」と呼ばれていた

烏妃の正体を語る上で、「冬の王」と「夏の王」にも触れる必要があります。

烏妃の正体として、「冬の王」と呼ばれた巫婆の末裔であることは解説しました。

「後宮の烏」の舞台である霄の国には、もともと「冬の王」と「夏の王」と呼ばれる存在がいました。

冬の王は祭祀を担当し、神託により少女が無作為で選ばれます。

一方の夏の王は政治を担い、その時の王朝の男子が選ばれます。

霄の国はこの2つの王により500年近く平和が保たれていました。

しかしある時、夏の王である淞(しょう)が冬の王・綏(すい)を殺したことで、夏の王と冬の王の軍勢が対立。

これによって霄の国は数百年の近く争いが続き国土は荒廃。

この時期、冬の王に力を授けていた烏漣娘娘は沈黙し、やがて冬の王の存在は歴史から忘れ去られていくのです。

烏妃の秘密:誕生と初代烏妃・香薔(こうしょう)について

いくつかの王朝が興亡を繰り返す中、ある時欒夕(らんゆう)という人物が現れます。

欒夕は国を統一し「夏の王」となりますが、この時彼は奴隷の身分であった12歳の少女・香薔(こうしょう)を救い出します。

上で解説したとおり、香薔は烏漣娘娘に選ばれた「冬の王」でした。

しかし欒夕は香薔に「冬の王」と名乗るのを禁じ、香薔を後宮へ閉じ込め「烏妃」と名付けます。

「夏の王」と「冬の王」が並び立つことで戦乱の世となるのを防ぐためと言われてますが、香薔を独り占めしたい欒夕の思惑もあったようです。

欒夕を愛していた香薔はこの申し出を受け入れます。

こうして烏妃が誕生するのですが、香薔はその後結界を作り、自分の跡に続く烏妃が宮城から出られなくしてしまいます。

烏妃が後宮で暮らしているのはこうした秘密があったのです。

結界を破り後宮の外へ出ようとした烏妃もいたようですが、巫術師の封一行によると宮城から出た瞬間、香薔の呪いにより死んでしまったとのこと。

原作5巻では、寿雪が香薔の結界を破ろうとする過程が描かれます。

まとめると、

結界を破り後宮の外へ出る
烏漣娘娘の半身から解放される

「後宮の烏」物語後半では、この2つがメインテーマであると言えます。

烏妃は実在したの?元ネタも考察してみた

ここで気になるには「烏妃は実在したのか?」という点ではないでしょうか。

結論から言うと、烏妃は「後宮の烏」オリジナルの存在だと言えます。

史実の中国の歴史には「烏妃」という妃は存在しません。

また、「後宮の烏」には烏妃以外にもいくつかの妃のランクがありますが、こうした妃たちも作品オリジナルの存在だと言えます。

※参照:後宮の烏の妃のランク・階級を解説!鴦妃・鵲妃・鶴妃・燕夫人のキャラクターも紹介

では、烏妃の元ネタになった要素は何かあるのでしょうか。

以下で考察してみました。

古代中国の神権政治と神話的要素

作中で烏妃の正体は「祭祀を担当する冬の王」「烏漣娘娘に仕えていた巫婆」という設定になっています。

宗教色が強い存在と言い換えることが出来ますね。

後宮の烏のモデルとなった中国の歴史を見てみると、歴代王朝の皇帝や王が祭祀を行うケースは多々ありました。

例えば、中国最古の王朝とされる殷王朝(紀元前16〜紀元前11世紀)では、王が農業や政治の是非を占いで決めたり、社会的地位が高い人が亡くなる際生贄を捧げるといった、祭政一致の神権政治が行われていたことで有名です。

後宮の烏の世界観には「幽宮」という神々が住んでいる世界が語られていたり、「1000年前に烏漣娘娘が鼇神と戦った」といった、神話的な要素があります。

これらの世界観の元ネタとして、古代中国の神権政治が挙げられる可能性はそれなりにありそうです。

巫(ふ):巫女の役割を果たした女性の存在

ここで気になるのは、中国史に宗教や祭祀に従事した女性がいたか?という点でしょう。

古代中国には「(ふ)」という、巫女の役割を果たした女性がいたことが知られています。

1つの例としては、三国志の時代の蜀(しょく)の国に仕えた宦官の黄皓(こうこう)という人物は、巫女の神託を信じ外敵の侵攻を許したと言われています。

こうした女性たちが、烏妃の元ネタになった可能性はあるかもしれません。

後宮の妃のランクも烏妃の元ネタになった?

そして後宮の烏の世界には、烏妃の他にも以下の妃が存在しています。

鴦妃(おうひ)
鵲妃(じゃくひ)
鶴妃(かくひ)
燕夫人(えんふじん)

この中で1番上が鴦妃である花娘(かじょう)です。

皇帝・夏高峻には皇后がいないため、作中の後宮では花娘が最も高い位にあると言えます。

そして、歴史上の後宮にも、様々な妃の位が存在していました。

例えば唐王朝(618年 – 907年)の時代には、皇后の下に「四婦人(よんふじん)」という以下の妃が存在しています。

貴妃(きひ)
淑妃(しゅくひ)
徳妃(とくひ)
賢妃(けんひ)

このうち1番上が貴妃で、皇后がない時はその代わりを務めていました。

こうした後宮の妃のランクも、烏妃の元ネタになっている可能性はありそうですね。

※参照:後宮の烏の舞台・霄(しょう)の国のモデルは中国の唐王朝?時代背景や歴史を解説

まとめ

後宮の烏に登場する烏妃(うひ)の正体や秘密について、実在したのかや元ネタも含めご紹介しました。

烏妃の正体について理解するには、烏漣娘娘(うれんにゃん)や冬の王、初代烏妃である香薔(こうしょう)を踏まえる必要があります。

この作品を読み始めたばかりの方が烏妃の秘密を探るには、かなり苦労するかもしれませんね…。

また「烏妃」は後宮の烏オリジナルの存在であり、中国の歴史において実在した訳ではありません。

ただ神権政治や巫女、後宮の妃のランクなど「元ネタ」と思われる要素はあるようです。

この作品が面白いと思ったら、実際の中国の歴史について調べてみるのもいいかもしれませんね。

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